ブライダルマーケットに於ける全体の挙式数は、現在年間約70万組で推移しています。
今後は急激に減少しつづけることになります。出生率が全盛期の60%にまで低下していますから、その比率で挙式数が確実に減っていくわけです。特に平成11年度は過去最低の出生率となりました。
 一方で挙式する施設は、新しく誕生するホテルをはじめとして毎年50施設程度が増え続けています。新しい施設ほど人気があるのは当然のことでしょう。また新しい施設は、マーケティング(特に営業・広告宣伝)に力を集中します。結果、新しい施設が優先して挙式顧客を獲得することになります。
 全体のπ(パイ)=挙式数は一定していて、決して増えることがありません。優先して新しい施設に流れる挙式数だけは、既存の施設での挙式数が確実に減少することになります。
 更に挙式組数の絶対的減少傾向は、立地条件の不利な施設、老朽化した施設、規模の小さな施設ほど強まります。加えて挙式のスタイルは、依然として和装離れがすすみチャペル挙式、レストランウェディング、海外挙式、パーティ形式挙式が増え続けています。これらの傾向は即ち現状での挙式施設離れを意味することになります。
 このように挙式施設の増加、挙式スタイルの多様化、挙式組数の減少傾向がブライダルマーケットの現状です。挙式する施設(=競合ライバル)が増えて、挙式スタイルが様々に変化していくのに、全体としての消費マインド(=挙式顧客のπ(パイ))を増やすことが出来ないわけです。
 したがって各施設が、一定の挙式組数を、安定的に継続して獲得維持することが、極めて難しいマーケットになっているといえます。